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顎関節症の症状と原因cause

顎関節症の主な症状

「口の開閉時に顎に痛みが生じる」「顎を動かした時にカクカクと音がする」「大きく口が開けられない」といった症状が、顎関節症の3大症状です。これら以外にも、「顎が閉じない」「咬みあわせが急に変化する」なども主な症状として挙げられます。また、顎のまわりだけでなく、頭痛、首や肩の痛み・こり、耳鳴り、舌の痛み、味覚障害、口の乾燥、眼精疲労などの症状を引き起こすこともあります。ただし、これらの症状は他の病気が原因で起こることもあるため、慎重な判断が重要となります。当院では適切な診査・診断により、鑑別を要する疾患あるいは障害を除外した後に、症型の樹形図をもとに顎関節症を正確に見極めてから治療に移ります

顎関節症の主な症状

顎のまわりの症状

  • 口の開閉時に顎に痛みが生じる
  • 顎を動かした時にカクカクと音がする
  • 大きく口が開けられない
  • 顎が閉じない
  • 咬みあわせが急に変化する
  • 顎や顔面の歪み
  • 顎の変形
  • 発音障害

その他の症状

  • 頭痛
  • めまい
  • 首や肩の痛み・こり
  • 耳鳴り
  • 難聴
  • 耳痛
  • 舌の痛み
  • 味覚障害
  • 嚥下障害
  • 口の乾燥
  • 眼精疲労
  • うつ病

顎関節症と似た症状の病気

顎や顔面の痛みなど、顎関節症と似た症状を引き起こす病気はたくさんあるため、適切な診査・診断によりそれらを除外する必要があります。

歯の痛み

歯の痛みやその関連痛により、咀嚼筋などに痛みが生じる場合があります。

鼻・上顎洞の痛み

鼻や上顎洞の痛みやその関連痛により、咀嚼筋などに痛みが生じる場合があります。

目の痛み

度数の合っていない眼鏡を使用するなどの要因により、頭痛が起こったり、咀嚼筋のまわりなどに痛みが生じたりする場合があります。

首の痛み

むち打ちが原因で咀嚼筋などに痛みが生じたり、噛み合わせに影響がおよんだりする場合があります。

耳の疾患

耳の疾患が原因で、耳痛、めまい、ふらつきなどの症状が現れる場合があります。

精神的な要因

過度なストレスや気分の落ち込みなどの精神的な要因により、筋肉の緊張が続いて、顎関節などに痛みが生じる場合があります。

顎関節症の原因

顎関節症の原因は1つではありません。様々な要因が重なって出てきます。

図のように、それぞれの要因が異なっていたり、大きさが違ったりと耐久力の限界を超えてしまったときに顎関節症の症状が出ます。ただ、耐久力には個人差があるため、要因が積み上がっても症状が出る人出ない人がいます。

顎関節症の要因は、身近な生活習慣の中にひそんでいます。

例えば

・THC(歯列接触癖)

・悪い噛み合わせ

・歯ぎしり

・食いしばり

・ストレス

・偏咀嚼(片方だけで噛む習慣)

・うつぶせ寝

・頬杖をつく癖

・猫背

など

このように生活習慣の中で何気なく行っていることが顎関節症を引き起こしているのです。

その中でもTCH(歯列接触癖)は、顎関節症の患者様の約70%がこの癖を持っており、このTCH(歯列接触癖)を治すことにより、短期間で症状が改善されるということも分かってきています。

TCH(歯列接触癖)

TCH(歯列接触癖)

人間は、会話をしている時や食べ物を噛んだり、飲み込んだりする時に瞬間的に上下の歯が接触するのですが、それ以外は接触していません。ところが中には必要ない時にも上下の歯を接触させている人がいるのです。それをTCH(歯列接触癖)と言います。

なぜTCH(歯列接触癖)が顎関節症を引き起こす要因になるのかというと、上下の歯を接触させると口を閉じるための咀嚼筋が働き、接触が長時間になることで咀嚼筋が疲労し、顎関節が押さえ込まれる状態になり、血流が低下することで痛みに敏感になるからです。

ブラキシズム(歯ぎしりなどの咬合習癖)

ブラキシズムとは、寝ている時や起きている時などに、歯を動的・静的に擦り合わせたり、噛みしめたりする咬合習癖のことです。ブラキシズムは主に次の3つに分類されます。

グラインディング(歯ぎしり)

グラインディング(歯ぎしり)

一般的に「歯ぎしり」と呼ばれるもので、ブラキシズムのうち、最も多くみられる習癖です。上下の歯を強く噛んだ状態で、左右に横滑りさせて擦り合わせる動きのことを言います。睡眠時に起こることが多いのですが、稀に起床時に起こる人もいます。

通常、人間の咬合力は72.9kg程度とされていますが、グラインディング時には293.1kgにまで高まると言われています。ちなみに、ライオンの咬合力は310kg程度、サメは280kg程度、シェパードは200kg程度とされています。このことからも、顎関節にいかに大きな負荷がかかっているかがご理解いただけるかと思います。こうした大きな負荷により、歯の磨耗や不正咬合などが発生する場合もあり、顎の位置がずれて「関節円板前方転位」が起こりやすくなります。

クレンチング(食いしばり)

クレンチング(食いしばり)

一般的に「食いしばり」と呼ばれるもので、何かに集中している時や、緊張している時などに、無意識のうちに歯を食いしばることを言います。クレンチングの習癖があると、たとえ小さな負荷であったとしても、顎関節に非可逆的な変化をおよぼす場合があります。

タッピング(歯をかちかちと咬みあわせる)

タッピング(歯をかちかちと咬みあわせる)

上下の歯をかちかちと咬みあわせるもので、比較的頻度の少ない習癖です。就寝時に起こることもあります。

咬みあわせの異常(咬合干渉)

咬みあわせの異常(咬合干渉)

早期接触

口を閉じた時に、上下の歯が1本または数本、他の歯よりも早く接触する状態のことを言います。

咬頭干渉

歯の噛み合う面の山の部分(咬頭)が、咬みあわせを阻害する形で他の歯に当たってしまい、正常な咬みあわせが得られない状態を言います。

咬頭干渉

筋肉まわりの障害

筋肉まわりの障害

主にブラキシズム(歯ぎしりなどの咬合習癖)や咬みあわせの異常などが原因で、咀嚼筋やそのまわりの筋肉などが過度な緊張状態に陥り、咀嚼筋に痛みが生じたり、それにともなう運動機能障害などが現れたりします。痛みは顎のまわりや頭部だけでなく、肩や腰、指先や足など、全身におよぶこともあります。

顎関節まわりの異常

咀嚼筋やそのまわりの筋肉で過度な緊張状態が続くと、下顎頭や咬みあわせなどの異常が生じる場合があります。その結果、関節円板が前方に押し出され、「関節円板前方転位」が起こりやすい環境になります。「関節円板前方転位」が起こると、口を開けた時に「カクカク」というクリック音がしたり、大きく口が開けられなくなったりします(クローズドロック)。

顎関節まわりの異常

関節の変形

顎関節症が進行し、関節部分の骨が変形してしまうと、「変形性関節症」と呼ばれる状態になります。この状態にまで至ると、上下の歯が触れただけで強い痛みが生じることもあります。